ボードテスタ

1 インサーキットテスタ In-Circuit Tester

 電子機器の内部には必ず電子回路基板が入っている。電子機器が正しく機能するためには電子回路基板が正常に動作する必要がある。電子回路基板は,電子部品がプリント配線板(基板)に正しく実装され,電源が供給されることにより動作が可能となる。この電子部品が実装された状態の基板を検査するのがインサーキットテスタである。
 インサーキットテスタは,電子部品と基板との接続信頼性を検査することが目的であり,その手段として,実装された電子部品(抵抗器・コンデンサ等)の定数,ダイオード特性などを測定することにより実装基板の良否を判定する装置である。MDA(Manufacturing Defect Analyzer)と呼ばれる検査装置も広義においてはインサーキットテスタに含まれる。

1.1 基本構成
 装置は,電気検査を行う計測部,計測ラインを切り替えるためのスキャナ部,および計測ラインを被検査基板上の任意の場所に通電接触させるためのプロービング部,さらにそれらをコントロールするための制御部から構成される。



 プロービング方法には,ジグ( Jig )方式とフライングプローブ方式とがある。
a) ジグ方式
 ジグ方式では,コンタクトプローブを立てた検査ジグを使用し,基板を一括でプレス,または真空吸着により全てのプローブを同時に基板上の各配線パターンに接触させる。その状態で計測ラインをスキャナ回路(リレー切り替え回路)により切り替えながら各電子部品の検査を行う。
 一般的にジグは「治具」とも表記され,「ピンボード」,「フィクスチャ( Fixture )」とも呼ばれる。検査対象となる基板には,それぞれ専用のジグを製作する必要があるが,検査時間が短いので量産基板の検査に適している。
b) フライングプローブ方式
 フライングプローブ方式では,コンタクトプローブを保持した複数のアームが基板上の任意のポイントに移動してプロービングを行う。プロービングポイントが平面上の X 軸と Y 軸の座標を検査プログラムの中で指定することにより決まるため,X-Y インサーキットテスタとも呼ばれる。プローブの移動時間が必要なのでジグ方式に比較すると検査時間は長くなるが,専用のジグを必要としないため多品種少量生産の基板検査に適している。

1.2 検査原理
 基本的な測定方法は DMM(Digital Multimeter)と同様に,プロービングポイントに測定信号を印加したときの電圧と電流の値から電子部品の定数を測定する。
 基板全体の検査は,検査する項目別に計測ラインの接続情報( H 電位,L 電位のポイントなど)と測定条件(測定モードやレンジの設定と判定基準値など)を入力した検査プログロムにより自動的に行われる。
 電気回路は一般に回路網(ネットワーク)を形成しているため,素子個別の定数を測ることが困難であるが,インサーキットテスタでは検査精度を向上させるための機能を備えている。
a) ガーディング機能
 図 2 の抵抗回路網(R 1 ,R 2 ,R 3 )に対して H 電位と L 電位だけで R 1 を測定すると,並列接続される R 2 ,R 3 からも電流計( A )に電流が流れ込むため誤差が大きくなる。この影響を電気的に切り離すのがガーディング機能である。


 図 2 の場合は,ガード電位( G )を使い R 3 の両端を同電位にして I 3 をゼロにすることにより誤差を無くすことができる。
b) 位相分離
 R(抵抗)および L(コイル),C(コンデンサ)によって構成された回路網に交流信号を印加すると,電流と電圧の間に位相差が生じる。この位相差を利用して,位相が 0°の R 成分と±90°の L,C 成分とを分離することにより,各素子の定数を正確に測定することが可能になる。


2 その他

2.1 ベアボードテスタ Bare Board Tester
 ベアボードテスタは,電子部品が実装されていないプリント配線板(ベアボード)の配線パターンが,設計されたとおりに形成されているかを検査する装置である。

2.1.1 基本構成
 装置のプロービング方式はインサーキットテスタと同様,ジグ方式とフライングプローブ方式とがある。

2.1.2 検査原理
a) 抵抗方式
 基板上の各配線パターンの端点(接続パッド)間の抵抗を測定して,判定基準値と比較することにより検査を行う。設計上つながっているべき配線パターン上の端点間の検査を導通検査,つながっていてはいけない配線パターンの端点間の検査を絶縁検査という。
b) 静電容量方式
 被検査基板を,絶縁物を介して電極板の上に置き,電極板と基板上の各配線パターン間に形成されるコンデンサの値(静電容量)と判定基準値とを比較することにより検査を行う。静電容量 C〔F〕は向かい合う導体の面積 S〔m2 〕と間隔 d 〔m〕とその間に存在する材料の誘電率 により決まる。

 よって,配線パターンに断線や他の配線との短絡が発生して面積が変化すれば,それを異常として検出することが可能となる。

2.2 ファンクションテスタ Function Tester
 ファンクションテスタは,電子部品実装後の基板に電源を供給した状態で各基板固有の回路動作を検査する装置である。電子回路を動作させるための電源投入をはじめ,様々な計測器と I/O 信号を制御するためのシステムが構成され,自動検査の中間に回路の調整工程を含む場合もある。検査項目も多岐にわたり,システムは個別設計となる傾向が強い。