2.2.5 半導体検出器

 高純度のダイオードに、バイアス電圧として逆方向電圧を印加したものが半導体検出器である。逆方向電圧を加えることで空乏層と呼ばれる電子、正孔の極端に少ない領域が形成され、その中に放射線が入るとここで吸収されたエネルギーに比例した電子、正孔対が生成される。この電子および正孔はバイアスの電界に従ってそれぞれ反対符号の電極に収集されて電気信号となる。電離、電荷収集の過程は電離箱と類似しているが1組の電子、正孔対を作るのに必要な放射線のエネルギーがSi半導体で3.62eV,Ge半導体で2.96eVと少なく、(ちなみに空気封入の電離箱の場合、電子正イオン対を作るのに必要な放射線のエネルギーは33.8eVである)、同一エネルギーの入射放射線に対し、電離箱の約10倍の電荷が生成される。即ち、エネルギー分解能が良い。
 従来、半導体検出器と言えばエネルギー分解能の高さからγ線スペクトロスコピー用にGe半導体(液体窒素又は電気式冷却不可欠)が多用されてきたが、昨今は常温使用が可能で製作も比較的容易なSi半導体がGM計数管の後継検出器として幅広く用いられている。
 このSi半導体はバイアス電圧が数10Vで動作し、形状寸法も自由度が高い(ただし、Siウエハの関係から外形は最大でもφ75mm程度)ことから、α線検出器、β線検出器、γ線検出器、中性子線検出器に応用されている。
 図2.2.5に半導体検出器の外観例を示す。

図2.2.5 半導体検出器の外観