2.1.11 放射線の量と単位

 (1)放射能
 放射能は単位時間当たりに壊変する原子数で定義される。単位は〔s−1〕で、これをBq(ベクレル)とよぶ。

 (2)粒子フルエンス
 粒子(放射線)の飛ぶ方向が一様の場合(平行線束)は、飛行方向に垂直である微少な面(面積da)を通過する粒子がdNである時、粒子フルエンスはdN/daで定義される。方向が単一でない場合は、単位面積の大円を有する球(すなわち半径1/π1/2の球)を通過する粒子の総数で定義される。単位は〔m-2〕である。単位時間当たりのフルエンスは、粒子フルエンス率とよばれ、単位は〔m-2・s-l〕である。

 (3)照射線量
 照射線量は空気が光子によって照射された場合にだけ定義できる。微少な領域の空気(質量dm)中で発生した2次電子が、すべて停止するまでに生成する電子-イオン対の、いずれか一方の電荷をdQとすると、照射線量X は、X=dQ/dmである。単位は〔C・kg-1〕(Cはクーロン)である。

 (4)吸収線量
 物質内の微少な領域(質量dm〔kg〕)が放射線からdε〔J〕(ジュール)のエネルギーを受けたとき、吸収線量DはD=dε/dm〔J・kg−1〕で定義される。〔J・kg−1〕の単位を特にGy(グレイ)という。吸収線量は、放射線や物質の種類にかかわらず定義される。光子や中性子のように、直接電離作用を行わない放射線では、エネルギーは2次荷電粒子によって与えられる。

 (5)等価線量
 被ばくの程度は、放射線により人体が受ける効果の大きさをもって表すことが適切と考えられている。放射線防護上関心があるのは一点における吸収線量ではなく組織・臓器にわたって平均し、線質について荷重した吸収線量である。吸収線量に放射線荷重係数(従来の線質係数に代わるもの)を掛けたものを等価線量と定義し、放射線による被ばく線量を表している。等価線量の単位はSv(シーベルト)である。

(2.7)
等価線量
TR 組織・臓器Tについて平均された放射線Rに起因する吸収線量
放射線荷重係数

 ある特定の種類およびエネルギーの放射線に対する放射線荷重係数の値は低線量における確率的影響の誘発に関する放射線の生物効果比(RBE)を考慮して表 2.1.11に示すように決められた。

表2.1.11 放射線の種類による放射線荷重係数
放射線の種類
光子(全てのエネルギー) 1
電子及びμ粒子(全てのエネルギー) 1
中性子
 エネルギーが10keV未満
   10keVを超え100keVまで
   100keVを超え2MeVまで
   2MeVを超え20MeVまで
   20MeVを超えるもの
  反跳陽子以外の陽子線(2MeVを超えるもの)
5
10
20
10
5
5
α線、核分裂片、重原子核 20


 (6)実効線量
 確率的影響の確率と等価線量との関係は、照射された臓器・組織にも依存することがわかっている。実効線量は、身体の照射を受けた全ての組織・臓器の荷重された等価線量の和である。実効線量の単位はSv(シーベルト)である。

(2.8)
実効線量
組織・臓器Tの等価線量
組織・臓器Tの組織荷重係数