2.1.6 α線と物質との相互作用

 放射性核種から放出されるα線のエネルギーは約4MeVから9MeVで、光の速度の20分1程度である。電荷を持った粒子が物質中を通過すると、その経路にある原子を励起したり、あるいは電離して電子−陽イオン対(イオン対)を生成する。α線は電荷が+2で速度が比較的遅いため、後述の電子線に比較して非常に密にイオン対を生成し、急速にエネルギーを失う。
 荷電粒子が完全にエネルギーを失って停止するまでに飛ぶ距離を飛程と呼ぶ。α線では空気中で3cmから8cm、水中ではその約1000分の1と非常に短い。
 α線は質量が大きいため散乱を受けることが少なく、進路はほとんど直線である。
 原子番号の大きな原子核は強い電場を有するため、その近傍をα線が通過すると、大きく散乱されることがある。