2.1.2 β線

 安定な原子核よりも中性子が過剰である原子核は、電子を放出してβ壊変する。あるいは陽子過剰の原子核は、陽電子(β線)を放出する。両者を区別して特に前者をβ壊変、後者をβ壊変と呼ぶことがある。β壊変では同時に中性徴子(ニュートリノ:ν )が放出され、エネルギーがβ線とニュートリノで分配されるため、β線のエネルギーは図2.1.2 に示すように分布する。ニュートリノは電荷を持たず、物質とほとんど相互作用しないため、通常は観測されない。β線の最大エネルギーは核種ごとに値が決まっている。この最大エネルギーは、核種によって大きく異なり、小さいものとしては3Hの18keVや63Niの66keV、大きいものとしては90Yの2.3MeVなどがよく知られている。親核種がXであるとき、β壊変では(2.2)、(2.3)式のようになる。

β-壊変 (2.2)
β壊変 (2.3)

ここで,νは反ニュートリノといい、ニュートリノの反粒子である。
 β壊変は原子核内の中性子が陽子に変換することであり、逆にβ壊変は陽子が中性子に変化する。β壊変は、中性子の過剰な核が安定になろうとして、過剰な中性子が不足している陽子に変化するものである。β壊変では逆である。β壊変では質量数に変化はなく、β壊変では原子番号が1増え、β壊変では原子番号が1減る。