1. コンピュータ

本章でのコンピュータに分類して扱うのは、FAシステムで使用されるコンピュータを指す。すなわち、ネットワークを中心に構成されたFAシステムにおいて、下位のコントローラやPLCとの接続手段を持ち、ネットワークに接続されている以下の製品群を取り上げている。

(1)FAワークステーション
(2)FAパソコン
(3)FAコンピュータ
(4)パネルコンピュータ


1.1 FAシステム用コンピュータの要件
FAシステムは産業を支える基盤として定着し、着実に発展してきている。
FAシステムの導入・構築は「投資コスト対効果」の原則で行われる。すなわち、投資コストに対してユーザが求める最大効果が得られるシステムが最適システムであり、このシステムの追求は将来も変わらないものと思われる。しかしながら、求められる最適なFAシステムは、昨今のオープン化・ダウンサイジングの浸透に伴い、様相が大きく変化してきている。周辺環境が急激に変化する時代では、変化への迅速な対応が製造業・サービス業にとって重要となり、そこで使用されるFAシステムは、従来のリアルタイム応答性、信頼性に加え、変更のし易さと拡張性が要求され、これに応えることが最適システムの提供になってきている。
FAシステムに使用されるコンピュータは、次の要件を満たしている必要がある。

(1)連続通電仕様であること。
(2)CRTオペレーションによる監視・操作が可能であること。
(3)必要に応じて二重化等の冗長化システムによる高信頼性確保が出来ること。
(4)高速オンラインリアルタイム機能を持つこと。
(5)データ、ソフト資産の相互利用、異機種間接続などのオープン機能を持つこと。
(6)計画、設計、プログラミングのエンジニアリング環境が整っており、人的属性に左右されることなくシステム構築が可能で、稼動後のメンテナンスも出来ること。
(7)稼動後もメーカによる保守部品供給体制があること。
(8)CIM(Computer Integrated Manufacturing)実現に向けたトータルコンピュータコントロールシステムが構築できること。

オープン化は、SI(System Integration)を容易にし、統合システムの構築、トータルCIM化など、システム化・統合化を発展させた。さらにマルチベンダ化、流通ソフトウェアの取り込みなど、異機種・異文化の融合を促進し、多様なシステム形態を実現可能なものにした。
FAシステムでサポートする業務範囲の拡大に伴い、業務ごとに別々のコンピュータで処理する形態を採用することが多くなってきた。これらに対して、FAシステムはFAコンピュータをサーバとし、FAワークステーション・FAパソコンをクライアントとするクライアント/サーバ方式の分散構成をとることが多くなってきている。


1.2 FAシステムのコンピュータの導入
FAシステムに対するニーズはますます多様化してきている。省力化がFAシステムの主な導入目的であった時代は過ぎ去り、アメニティ重視・メーカとユーザとの協力によるシステム構築、システムのライフサイクル全体での生産性などが新たな評価基準としてクローズアップされてきている。FAワークステーション、FAパソコン、さらには市販プログラムパッケージの取り込みは、これらの評価基準を満たすために必須の要素となった。
FAシステムは、プロセスや設備に接続され生産活動に直接影響を与えることが多いため、高信頼性が要求される。
オープン化対応のコンポーネントの大部分は、単体としての信頼性や保守性ではFAコンピュータのそれに比べ劣っているといわれてきた。しかし、昨今の技術進歩によってこれらの信頼性も向上しつつあり、その低価格性や使い易さなどのメリットを重視して、FAシステムのコンポーネントとして採用されることが多くなってきており、今後はオープン化対応の機器が主流になると思われる。
これらを採用する際には、前に示した基本的特質に十分留意し、制御対象の特性を考慮してシステム構築をする必要がある。以下、その導入の各段階について述べる。

(1)ステップ1:端末として使用
コンピュータを表示と操作、またはフロントエンド処理の端末として使用する場合である。
この場合、端末としての機能・性能と信頼性を確保すれば目的を果たせるので、FAシステムへの取り込みはこの形から始まることが多い。必要に応じ、端末としてのエミュレータソフトを入れて使用する場合もある。また、端末側の不具合が本体側に波及しないよう、システム本体側との接続に使用する通信ソフトの異常処理機能の強化、端末側状態の把握機能の付加などを行い、システム的な信頼性の確保を図っている。

(2)ステップ2:補助的な処理装置として使用
高信頼性や高応答性が要求されるリアルタイム処理を高信頼性のFAコンピュータが受け持ち、二次的なデータ処理などをLANで接続されたFAワークステーション・FAパソコンで対応する使い方である。
オープン性の高いFAパソコン等にはスプレッドシートなどの市販のパッケージソフトを搭載し、FAコンピュータ側から送られてくるリアルタイムデータを、ユーザ側で容易に加工できるようにしている。
FAコンピュータ側の機能としては、FAワークステーション・FAパソコンに搭載されている市販パッケージソフトで扱えるデータの形にリアルタイムデータを変換して送出する機能に加え、FAワークステーション・FAパソコン側での異常発生時にFAコンピュータ側のリアルタイム制御機能が影響を受けないような耐故障性機能を持たせ、システム全体としての信頼性の確保を図っている。

(3)ステップ3:システムの主たる処理に使用
FAワークステーション・FAパソコンに、従来FAコンピュータが担当してきた機能を行わせる使い方である。
この場合、オープン化対応の機器で実現できる。